
「もし、うちの会社を売るとしたら、いくらくらいになるんだろう?」
事業承継やM&Aを具体的に考えていなくても、経営者なら一度くらいそんなことを想像したことがあるかもしれません。
会社の価値を考えるとき、土地や建物、機械、在庫、現預金といった資産はもちろん重要です。許認可や技術、取引先との関係など、その会社ならではの強みが評価につながることもあります。
では、買い手は結局、何を買おうとしているのでしょうか。
基本的な視点のひとつは、やはり「この会社はこれからどれだけ利益を生み出せるのか」ということです。
現在しっかり利益を出している。継続して仕事が入っている。顧客との関係があり、社員がいて、経営者が交代しても事業を続けていける。こうした「稼ぐ力」は、会社の価値を考えるうえで非常に重要な要素になります。
ですから、「小さな会社だから」「立派な資産がないから」と、それだけでM&Aを遠い話だと考える必要はありません。
きちんと稼いでいる会社には、その事業を引き継ぎたいと考える買い手が現れる可能性が高くなります。
自社の価値が少し気になり始めたら、まずは「何を持っているか」だけではなく、「うちは何によって稼いでいるのか」を一度眺めてみてください。
ここまで読んで、「そんなの当たり前だろう」と思われる方も多いかもしれません。ところが、実際に経営者のみなさまとお話ししていると、自社の強みを客観的に説明するのは意外と難しいものです。
以前おうかがいした会社で、海外企業からも注目された製品を作っておられたので、「この製品を真似して作るのはかなり難しいだろうとうかがいましたが、どこがどうすごいのか少しご説明いただけませんか?」とお尋ねしたところ、かなり長い沈黙のあとで「説明なんてできんわ、すごいからすごいと思うんじゃない?」と冗談のような本気のお答えが返ってきたこともあります。
「まあ、どこでもやっていることですけどね」
「これくらいしか稼げていなくて、お恥ずかしい」
そんなふうに謙虚にお話しいただいたことが、買い手の目線で見ると、その会社ならではの強みや収益力の源泉だった、ということもあります。
自分で育ててきた会社を、自分で客観的に評価するのは簡単ではありません。
経営者にとっては当たり前になっているものの中から価値を見つけ、買い手の視点で整理していく。それも、私たちのようなM&Aの専門家を活用していただく理由のひとつだと考えています。